一般社団法人女性科学者に明るい未来をの会 第33回(2013年)猿橋賞の授賞式・記念講演会が、5月25日(土)、東海大学校友会館にて行われました。理化学研究所仁科加速器研究センターの肥山詠美子(ひやま・えみこ)准主任研究員が、受賞研究題目「量子少数多体系の精密計算法の確立とその展開」“Establishing an Accurate Calculation Method for Quantum Few-Body Systems and its Applications”(業績要旨)により選ばれ、賞状、副賞を授与されました。
授賞式に先立って、米沢富美子会長の挨拶、宮岡礼子・東北大学大学院理学研究科教授による特別講演がありました。「猿橋賞」贈呈に続き、肥山准主任研究員による記念講演がありました。講演では、原子核物理学者になったきっかけ、現在の研究内容、そして今後の目標などが、様々なエピソードを交えながら語られました。恩師である上村正康博士との出会い、研究者の道に進んですぐに参加した「国際計算テスト」(2001年)で自信をつけたこと、多くの共同研究者への感謝の気持ち。最後に、今後の目標として強く強調したのは、若手研究者の育成でした。「これまでは、周りを巻き込みながら“私が”がんばってきました。でもこれからは、若い研究者たちに成果を上げてもらえるよう“一緒に”がんばっていきたいと思います」。その後の懇親会では、故郷の同級生、原子核研究の同僚、そして家族から、たくさんの祝福の言葉やエールが贈られました。
肥山詠美子准主任研究員の受賞コメント(再掲)
「猿橋賞は、ずっと前から私のあこがれの賞でした。この賞をいただけて大変光栄に思うと同時に、身の引き締まる思いです。
この賞で評価されたことの1つは、我々の少数多体系計算法(無限小変位ガウスローブ法)をハイパー核物理へ応用したことだと思っています。現在、J-PARCを中心にハイパー核の実験が実施、または計画されています。今後、このハイパー核物理がますます発展するために、私も研究に一層邁進したいと思います」