2013年2月18日(月)~19日(火)に、千葉大学理学部にて宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションワークショップが開かれました。ときおり雪が舞うなか2日間にわたり、招待講演8名を含む15名の講演があり、活発な議論がされました。参加者は、研究者および大学院生の計32名(講演者含む)でした。
千葉大学大学院理学研究科ハドロン宇宙国際研究センターの松元 亮治(まつもと・りょうじ)センター長らは、荷電粒子系をマクロに扱う磁気流体モデルに基づく宇宙磁気流体シミュレータ「CANS(Coordinated Astronomical Numerical Software)」を開発・公開し、磁気流体現象のシミュレーションを実施できる環境を整備してきました。またそれを拡張する形で、同センターの松本 洋介特任助教が中心になって、プラズマを粒子的に扱う電磁粒子モデルに基づくプラズマ粒子シミュレータ「pCANS」の開発も進めてきました。
今回、磁気流体・プラズマシミュレーション手法についての情報交換を行うことを目的として、数値シミュレーション経験者を対象としたワークショップを開催しました。
招待講演として、プラズマシミュレーションの専門家ではない研究者も招かれました。2012年ゴードン・ベル賞を獲得した筑波大学の石山智明研究員は、計算アルゴリズム「TreePM法」、スーパーコンピュータ「京」のチューニングについて講演しました。「京」の特徴(くせ)を把握し、最適なかたちで計算させるための技法を紹介しました。同じく筑波大学の今倉 暁研究員は、大規模連立一次方程式をいかに速く解くかについて、反復法の一種「クリロフ部分空間法」や、その前処理について講演しました。
また、松本特任助教はpCANSの現状について講演しました。1次元、2次元コードはすでに公開しており、3次元コードも今後公開する予定です。pCANSサイトへのアクセス数は徐々に増加しており、大阪大学の大学院生と共同研究に発展した例も紹介されました。
各講演スライドは、ウエブにて公開する予定です。
松元教授は最後に「ワークショップは今後も行いたいと思います。昨年行ったサマースクールのアドバンストの開催も予定しています。」と結び、ワークショップで最先端の議論を行う一方、サマースクールを開催して裾野を広げる活動も行っていくことを示しました。