財団法人茨城県科学技術振興財団第23回つくば賞ほかの授賞式・受賞記念講演会が、10月17日(水)、つくば国際会議場で行われました。つくば賞には、筑波大学計算科学研究センターの青木慎也(あおき・しんや)教授、石井理修(いしい・のりよし)准教授、理化学研究所の初田哲男(はつだ・てつお)主任研究員が選ばれており、賞状、メダルなどを受け取りました。授賞式は、第9回江崎玲於奈賞、第22回つくば奨励賞も合わせて行われました。
対象となった研究主題は「格子量子色力学に基づく核力の研究」。素粒子・原子核物理にまたがる未解決の問題を理論的に最定式化し、スーパーコンピュータを用いた大規模数値計算によって解明に導きました。これは、湯川秀樹以来の「核力」の問題に解答を得たと同時に、素粒子・原子核物理の新たな地平を拓いたという意義を持ちます。
青木教授による受賞記念講演では、まず「核力」「量子色力学」「格子」の意味をじっくり説明したうえで、研究の概要について述べました。研究内容の一方で、研究の足取りについても語りました。3人の共同研究は2005年頃から始まり、2006年に高エネルギー加速器研究機構に新規導入されたスパコンを使い、2007年に論文を発表。それが評価されて今回の受賞に至りました。
青木慎也教授の受賞コメント(再掲)
「この度は、つくば賞という素晴らしい賞に選ばれ、光栄であると同時に大変うれしく思っています。筑波大学の同僚をはじめとする多くの方々の協力なしに、この研究を成し遂げることはできませんでした。ここに感謝いたします。
この研究に関しての最初の論文を発表してからすでに5年が経ちました。しかし、我々の提案した方法の発展や応用はまだ続いており、研究は発展途上です。さらに良い成果を積み重ねて、この研究分野を完成させるために、よりいっそうの努力をしていきたいと考えています。」