2021年8月26日にオンラインにて、第12回HPC-Phys勉強会を開催しました。この勉強会は、計算基礎科学連携拠点(JICFuS)と理化学研究所R-CCSの共催です。参加者は講師を含めて35名でした。
今回はスーパーコンピュータ「富岳」に関する講演を2つお願いしました。
あらかじめ最適化されたライブラリを活用するのも有効なチューニング手法です。1つ目の講演では、理化学研究所の中村宜文さんに富岳向けの密行列の演算ライブラリーの性能を紹介していただきました。一般に密行列の演算は行列サイズが大きいほど性能が出しやすく、小さな行列では性能を出すのが難しくなります。富岳で提供されているライブラリにとって、「大きい」「小さい」行列サイズは具体的にどれぐらいでしょうか。行列サイズが数千以下〜数万以下の範囲で、網羅的に性能測定した結果が報告されました。ライブラリの呼び出し例として、性能測定に用いたコードも提供していただきました(勉強会ウェブサイトからダウンロードできます)。
スパコンの性能が上がると、より高解像度のシミュレーションができるようになります。そのためにはスパコンの性能を引き出すためのコードチューニングも必要です。2つ目の講演では、千葉大学の掘田英之さんに太陽内部の数値計算と、その富岳向けのコードのチューニングについて解説していただきました。性能のボトルネックになる点と用いたチューニング手法がよくまとまっていて、他のアプリのチューニングでも役立ちそうな情報が満載でした。富岳の利用で従来より高解像度のシミュレーションが可能になり、太陽表面の対流の様子を世界で初めて再現することに成功したとのことです。
世話人の一人の金森さんからは
「堀田さんの計算の成果は、https://www.jicfus.jp/jp/press20210914// で報告されているものです。従来の難問を解決する第一級の研究で使われたコードについて、チューニングの詳細な解説が聞ける貴重な機会となりました。」
とコメントをいただきました。
講演資料や当日の動画は、勉強会 web site
http://hpc-phys.kek.jp/
をご参照ください。