「富岳」成果創出加速プログラム「シミュレーションで探る基礎科学:素粒子の基本法則から元素の生成まで」

「富岳」成果創出加速プログラム「シミュレーションで探る基礎科学:
素粒子の基本法則から元素の生成まで」


概要

宇宙を支配する基本法則と物質の成り立ちに関わる大きな謎にシミュレーションを通じて挑む。新しい基本法則の探究から、複雑な原子核の理解、激しい天体現象を通じて起こった元素合成の解明まで、素粒子・原子核・宇宙物理の中心的な課題を取り上げ、富岳の計算能力を最大限に活かして早期に成果を得る。我が国が中心となって推進する実験・観測プロジェクトとの密な連携体制を組み、相互の成果を最大化する。

研究テーマ

B中間子崩壊: 格子QCDシミュレーションによりB中間子崩壊、特にB→πℓν崩壊、の形状因子を精密に計算し、実験結果と組み合わせて素粒子標準模型を超える物理法則に制限をあたえる。
QCD相構造: カイラル対称性を保つシミュレーションにより、2+1フレーバーQCDの相構造を確立する。
バリオン間力: ハイペロン力や、さらに重いチャームクォークを含むバリオン間力の計算により未知の2バリオン状態の存否を明らかにし、J-PARCにおけるハイパー核実験やLHCにおける重イオン衝突実験につなげる。
核構造とr過程: 原子核構造の研究を中性子過剰核に進め、重元素合成のr過程を定量的に理解することが大きなチャレンジとなる。
中性子星合体: 中性子星合体のシミュレーションを進めて合体時の放出物質の性質を明らかにすることで、KAGRA等の重力波干渉計による重力波観測、光学望遠鏡による電磁波観測による検証へつなげる。
時空生成: すべてを説明する理論として期待されている超弦理論を出発点として、無から時空が生成して成長する様子をシミュレーションで明らかにする。

実施期間

2020年4月〜2023年3月

実施体制