2020年6月17日(水曜)に第7回HPC-Phys勉強会が開催されました。この勉強会は、計算基礎科学連携拠点(JICFuS)と理研計算科学研空センター(R-CCS)との共催です。Covid-19 の影響で、様々な集まりがオンラインに移行しています。第7回 HPC-Phys 勉強会も例外に漏れず、初のオンライン開催となりました。講演数も絞って時間はこれまでより短くしました。オンラインということで距離の制約がなく、画面で数えた範囲では前回よりも多い 36 名の参加がありました。
今回は伝統的な HPC に関する講演を二つお願いしました。ひとつ目は、ベクトル型計算機である SC-Aurora 向けのチューニングの話を、青山龍美さんにお願いしました。題材はクォーク同士の相互作用を計算機で扱う格子QCDで、その中でボトルネックになる疎行列・ベクトル積のチューニングの詳細の紹介がありました。チューニング前と比べて、65–250 倍高速化したそうです。小休止を挟んでふたつ目は、野村昴太郎さんに FDPS と PIKG の話をお願いしました。FDPS は、多数の粒子の運動を追いかける(N体系と呼ばれています)プログラムのフレームワークで、重力相互作用する粒子に用いれば銀河進化のシミュレーションに使えます(相互作用を変えれば様々な計算に使えます)。PIKG は、その相互作用部分の自動チューニングをするツールです。野村さんはこれを用いて理化学研究所の「富岳」向けのチューニングをしていて、これから「富岳」を使う人向けのコメントもありました。
この勉強会では、普段から講演途中に質問が出て議論しながら進みます。今回用いたシステムにはいわゆる挙手の機能はありませんでしたが、質問者にはチャットに「?」と書き込むことで質問の意思を示してもらいました。講演中に何度か質問を促すタイミングをとってもらったのと相まって、普段と同様の活発な議論がなされていました。また、通常はコーヒーブレーク中に個別の議論や情報交換があります。オンライン開催ではどうしても欠けてしまうところですが、今回は、それを補うために勉強会の最後の長めの議論の時間をとり、両講演者を交えて様々な議論がなされました。また、オンライン開催を踏まえて今後の勉強会のあり方も議論されました。
参加者で世話人の一人である永井さんからは「「富岳」成果創出加速プログラムの素粒子原子核分野および宇宙惑星分野に参加するメンバーがチューニング等に関する活発な質疑が行われて、有意義な議論ができたように思います。」とコメントをいただきました。
講演資料は勉強会 web site
http://hpc-phys.kek.jp/
をご参照ください。