東京理科大学(野田キャンパス)で開催された日本物理学会第73回年次大会最終日3月25日に授賞式と受賞講演が行われ、受賞講演では諏訪氏の研究について解説していただきました。受賞対象研究は「巨大な星からの超新星爆発とガンマ線バーストの理論的研究」です。
諏訪氏の研究は超新星爆発のシミュレーションに関するものです。超新星爆発とは大きな質量を持った恒星が進化の最終段階で引き起こす天体現象で、大きな爆発とともにエネルギーを伴う大量の粒子を宇宙空間に放出するものです。この現象は現在の宇宙物理学の中でも最も盛んに研究が進められている分野であり、特にどのようなしくみで爆発が起こるのかは多くの研究者が興味を示していました。超新星爆発は天体現象として実際に観測されているものの、理論的に扱うと爆発が再現できないということが大きな問題であったのです。そんな中、諏訪氏は素粒子の一つであるニュートリノが爆発機構にかかわるシナリオに注目して“爆発する”超新星爆発のシミュレーションに成功しました。この研究により超新星爆発に関わる一連の現象についての理解が進み、多くの関連研究が現在でも続けられています。また、諏訪氏は初代星※1がガンマ線バーストを起こすことが可能であることも初めて示しており、これら一連の研究が評価され若手奨励賞の受賞に至りました。
本研究の一部は、文部科学省ポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」および計算基礎科学連携拠点のもとで実施されました。
諏訪雄大氏の受賞コメント
日本物理学会若手奨励賞をいただき、大変うれしく光栄に思います。これまで指導していただいた共同研究者の皆様と、様々な面で自分を支えてくれた同僚や家族の皆様のお蔭であると実感しています。今後もわくわくするような面白い研究ができるよう頑張ります。
用語解説
※1 初代星
宇宙初期に誕生した第1世代の星のこと。
関連リンク
- 若手奨励賞(宇宙線・宇宙物理領域)受賞者一覧:日本物理学会 宇宙線・宇宙物理領域