仁科記念賞は、日本の現代物理学の父と呼ばれる故仁科芳雄博士の功績を記念し、原子物理学とその応用に関し優れた研究業績をあげた比較的若い研究者を表彰することを目的としています。
受賞対象となったのは柴田さんの“数値相対論による連星中性子星合体の研究”です。
二つの中性子星からなる連星中性子星の合体現象は、一般相対論における重要な研究対象であるのみならず、中性子星の内部構造や重元素の起源を解明するための貴重な実験場になると考えられています。このような合体現象を理論的に理解する上で、天体同士の衝突の際に放出される重力波や電磁波をアインシュタイン方程式や一般相対論的流体方程式に基づいて数値的に解析する「数値相対論」が重要視されています。柴田さんは数値相対論の基本的手法を構築・確立し連星中性子星合体現象に関する理論的研究を20年以上にわたり続け、合体の標準的なシナリオを構築し、合体に伴う観測可能量の特性を明らかにして来ました。この功績が認められ、仁科記念賞の受賞となっています。
仁科さんの研究の一部は、文部科学省ポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」および計算基礎科学連携拠点のもとで実施されました。
詳細は仁科記念財団ホームページをご覧ください:仁科記念財団ホームページ
柴田大氏の受賞コメント
仁科博士は日本の近代物理学の礎を築いた人物で、彼の功績を記念する仁科記念賞は日本の物理学者にとって特別な意味を持っています。今回この名誉ある賞を頂き、大変光栄に感じています。