宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマーセミナー2017

2017年8月21日(月)~8月25日(金)に千葉大学総合校舎1号館にて、宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマーセミナー2017が開催されました。8人の講師のもと、全国から集まった大学院生・若手研究者15人が、宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションについて5日間にわたって学び、議論を行いました。本セミナーは、文部科学省ポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」の共催で行われました。

本セミナーは、文部科学省HPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」の支援を受けて開発・公開した2つのシミュレーションコードパッケージを教材として、シミュレーション経験者向けに行われました。前身のサマースクールから初心者向けと経験者向けを1年おきに開催しており、今年はアドバンスとなります。2つのコードは、磁気流体(MHD)モデルに基づく高次精度磁気流体シミュレーションコードパッケージ「CANS+」と、電磁粒子モデルに基づくプラズマ粒子シミュレーションコードパッケージ「pCANS」です。

手ぶりを交えて講義する筑波大の吉川氏

セミナーの初日は、まず3人の講師によるシミュレーションの講義から始まりました。「線形移流方程式・無衝突ボルツマン方程式の数値解法」(吉川耕司:筑波大学)、「MHD近似リーマン解法」(三好隆博:広島大学)、「MHD多次元化・高次精度化」(飯島陽久:名古屋大学)。2日目午前までが講義で、「コードの高速化」(松本洋介:千葉大学)ではコードのチューニング・OpenMPによる並列化についての話がありました。

2日目午後からは実習です。MHDコードスクラッチ開発、Vlasovコード開発、コードの最適化・並列化のグループに分かれて、各々の達成目標を目指して、作業を開始しました。
3日目:MHDコード開発は講師の指導のもとプログラミングが進み、衝撃波管問題を中心に1次元問題が解けるようになりました。Vlasovコード開発では線形移流問題に取り組み、高次精度化を達成できるようになりました。コードの最適化ではプロファイラを使ったボトルネックの調査などを経て、数倍計算が速くなりました。
4日目:MHDコード開発ではコードの高次精度化・多次元へ進む人たちもちらほら出始めました。Vlasovコード開発は、ポアソン方程式とカップルしたコードの開発ができはじめました。コードの最適化ではスカラチューニングを経て、OpenMPによる並列化に取り組みました。

5日目:午前中は成果発表の準備に時間を使い、昼食時間も使って準備に励みました。午後は各々の研究背景やセミナーで達成できた内容について1人5分程度の発表を行いました。
アドバンスドシリーズは今回で3回目となりますが、初めて3次元MHDコードの開発まで達成できた強者が現れました。Vlasovコード開発は初めての試みでしたが、Vlasov-Poisson方程式を解くコードの開発にみな成功し、線形ランダウ減衰を解くことができるようになりました。講師の吉川氏(筑波大)らが開発した世界最先端のソルバーを実装した受講生もいました。コード最適化・高速化では、手持ちのコードが20倍速くなったという報告もありました。

総勢24名がコード開発に取り組みました

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