ニュートリノ・原子核物理データによる超新星爆発-Numazu Workshop 2015

Numazu workshop photo2015年9月1日~4日まで、静岡県三島市の三島商工会議所にて、国際研究集会Numazu Workshop 2015: Challenges of modeling supernovae with nuclear dataが行なわれました。海外からの研究者4名、留学生1名を含む、38名が参加しました。研究会のテーマは、ニュートリノ・原子核物理データによる超新星爆発の数値シミュレーションの現状と将来についてでした。極限状態における物質の状態方程式・反応のライブラリ整備と爆発メカニズムや超新星ニュートリノ・元素合成への影響についての最新の研究報告と議論が行なわれました。

参加者は原子核理論・実験、天文理論および計算科学の広い分野に渡り、素粒子・原子核と星までの世界が密接に繋がっているのを実感する会議となりました。特に、原子核実験と天文シミュレーションの間など、話には聞いていたが、これまで面識のなかった研究者同士の新たな出会いを生み出す機会となりました。原子核理論・実験からは状態方程式や電子捕獲・ニュートリノ反応などの最新データや理論予測が報告されて、超新星における環境へ間近にせまる進展が期待されました。天文シミュレーション側からは、核物理が爆発メカニズムに及ぼす影響が非常に敏感なものであり、注意深く扱うべきことが認識されると共に、重要な鍵を握る原子核種は何かを特定することなどが報告されました。(ホームページでスライドが公開されています。)

研究会開催中、昼食時のブレークでは湧き水が流れる街中を散策することなどで参加者間が親しく打ち解けました。4日目の午前には議論セッションが行なわれて、状態方程式テーブルに関わる研究者が自由に討論しました。数値シミュレーションに用いるための状態方程式のライブラリ構築や天文現象への影響について、および、必要な物理量、領域拡張、データ形式、原子核理論の枠組みの違いなどについて、実質的な情報交換と討論が活発に行なわれて、最先端の研究者だけでなく、これから核物理・天文に取り組む研究者や大学院生にとっても貴重な機会となりました。研究発表、そして討論や情報交換が今後の核物理と天文シミュレーションの更なる密接な連携に役立つことが期待されます。

この研究会は、主に科研費基盤A「大質量星の進化における重力崩壊型超新星の総合的研究」(24244036)の財源により運営されました。また、HPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」・科研費新学術領域(重力波天体 A05 24103006中性子星核物質 24105001)の協力、科研費(基盤C 15K05093, 若手A 26707013)の補助、を受けて開催されました。

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