格子QCDを応用したグラフェンの物理:第5回JICFuSセミナー

2014年2月4日(火)に京都大学基礎物理学研究所で、第5回JICFuSセミナーが開催され、27名の参加がありました。

今回の講師は、大阪大学大学院理学系研究科の大野木 哲也(おおのぎ・てつや)教授。「Position space formulation for Dirac fermions on honeycomb lattice」と題した大野木氏の講演は、グラフェンの物理に関する丁寧な説明から始まりました。スコッチテープとグラファイトを使ったグラフェン(graphen)の作り方や、その特徴的な物性などの解説があり、聴衆の興味を引きました。次に、グラフェンを記述する格子モデルの詳細な説明がありました。
後半は、大野木氏らが発見した、格子QCDでの経験を応用したグラフェンの格子モデルが持つ重要な対称性についての解説が行われました。この対称性により、グラフェンの重要な性質であるギャップレスな分散関係に対する理論的な理解が進んだことが明らかになりました。参加者からの多くの質問やコメントがあり、活気の有るセミナーでした。

JICFuSセミナー(JICFuS Seminor on Non-Perturbative Physics)は、京都、大阪、名古屋、神戸に在籍する格子QCDなど非摂動物理の研究者が中心となって、2013年度から新たに開催したセミナーシリーズです。関連する分野の研究者であればどなたでも参加できます。セミナーでは様々なテーマを取り上げ、講演1時間+質問1時間とたっぷり時間を取って活発に議論していきます。

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