第54回科学技術週間(4/15~21)期間中の4月20日(土)、HPCI戦略プログラム分野5に関係する大学・機関で一般公開が行われました。ぐずついた天候のなか、多くの方に来場いただきました。
筑波大学計算科学研究センターの一般公開「新型スーパーコンピュータを見に行こう!!」には、85名(うち高校生以下が23名)が来場され、40分間の見学ツアーなどを楽しんでいました。来場者は簡単なセンター紹介を受けた後、計算機分野の梅田 宏明(うめだ・ひろあき)研究員の解説を聞きながらスーパーコンピュータ「HA-PACS」(エイチ・エー・パックス)を間近に見て、その大きさや空冷ファンの“騒音”に驚いていました。ツアー後半は、HA-PACSを使って天文の研究を行う行方 大輔(なめかた・だいすけ)研究員の話に聞き入りました。
ツアーが終わっても次々と質問を投げかけた方、歴代スパコンの基板をしげしげと眺め続ける方、それぞれ楽しんだようです。
理化学研究所(和光)一般公開では、素粒子の研究室が3つのブースを設けました。「素粒子と宇宙」「60秒でわかる?量子色力学で迫る物質と宇宙の起源と構造」「量子色力学カードゲーム『クォーク・カード・ディーラー』(QCD)」。合計でおよそ600名(QCDには300名)が来場し、素粒子の世界を楽しんでもらえたようです。
『クォーク・カード・ディーラー』は、今回は簡略化したルールで行いました。高エネルギー加速器研究機構(KEK)などで既にプレイ済みのリピーターや、逆に次は通常プレイをしたいからKEKの一般公開に行きたいという子どももいました。クォークの「色」と、「無色」のハドロンの関係を説明すると、「量子色力学の『色』ってそういう意味だったんですね。長年の疑問が解けました」と深くうなずいてくれる人がいて、説明員も思わずにっこり。一方で、「なぜクォークをばらばらにして見つけられないの?」と聞いてくる高校生にはたじたじとなり、「世界で誰も解けていない、ノーベル賞級の大問題なんだよ」と説明すると、高校生は目を輝かせていました。
東京大学原子核科学研究センターは、理研(和光)の場を借りて一般公開「原子核の極限状態にせまる-超並列計算機でのぞく原子核の世界」を行いました。約500名の方がブースを訪れました。
パネルを示しながら、スーパーコンピュータ「京(けい)」を使って原子核構造をどのように研究していくかを説明。研究のイメージをつかんでもらうためにアニメーションも使い、原子核反応の様子も展示しました。原子核が様々な形をとる多様な系だということを、ある程度理解してもらえたようです。少し専門的な解説もありましたが、中高生を中心に熱心に聞き入っていました。食い入るようにポスターを見て、ときどき鋭い質問が飛んでくることもありました。「京」を使って研究していることを説明すると、がんばってくださいと励ましの言葉をかけてくださるご年配の方もいました。
来年度も科学技術週間に合わせて様々な催しを行う予定です。科学に興味のある方も、ない方も、ぜひ一度足をお運びください。