日本天文学会2013年春季年会の開催に合わせて行った天文・素粒子イベント@さいたまが幕を閉じました。2日間5イベントの参加者総数は、のべ243名でした。
今回はサッカーや鉄道とのコラボレーションを試みた結果、子どもから大人までじつに多様な方々にお越しいただきました。参加された皆様、また会場を快くご提供下さったレッズランド、鉄道博物館、ブレヒトの芝居小屋のみなさま、誠にありがとうございました。
次回は、天文学会2013年秋季年会(9/10~12、東北大学)にあわせて仙台で開催する予定です。
参加者内訳:計243人
3/20(水・祝) 17:00~20:00 |
92人 | レッズランドで星空を楽しもう! |
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3/23(土) 13:00~15:00 |
28人 | 『惑星科学遊戯』 |
3/23(土) 13:30~14:30 |
35人 | 特別講演会「宇宙と鉄道:意外につながる、ひと、もの、ことば」 |
3/23(土) 16:00~20:00 |
66人 | 一家に1枚 宇宙図2013 制作記念イベント |
3/23(土) 18:30~20:00 |
22人 | 講演会『ヒッグス粒子』発見で何が解決したのか? |
レッズランドで星空を楽しもう!(3/20 17:00~)
親子連れを中心に多くの参加がありました。前半は「天球儀」(星の天球面上の位置を球の表面に印刷したもの。地球儀の星空版)と「天体望遠鏡」を製作する2つのワークショップを行いました。参加者は66名。ペーパークラフトの天球儀を製作したグループは、天球儀と星空画像や星図を見比べて星座探しを行いました。天体望遠鏡を製作したグループも、完成した望遠鏡を覗いて、見えるかどうか試しました。
後半はグラウンドに出て星空観望会を予定していましたが、あいにくの曇り空で中止に。室内で、宇宙シミュレータ「Mitaka」を使った解説を聞き、製作したものより一回りも二回りも大きい天体望遠鏡を実際に触ってみるなどしました。ワークショップ参加者に加えてさらに26名の参加がありました。
『惑星科学遊戯』理の惑星 × 日本天文学会 2013年春季年会(3/23 13:00~)
「惑星科学人狼」と「惑星生成シミュレータ by Kinect※1」の2つのゲームを行いました。参加者は20代後半~30代後半が多く、男女比もちょうど半々でした。
「惑星科学人狼」では、アナログゲーム「人狼※2」のルールを使って、系外惑星を探す「観測者」と、見つかりたくない「ハビタブル惑星」の勢力に分かれて対戦形式で行いました。「ハビタブル惑星」が見つからないと、予算削減のために「観測者」はどんどん「解雇」(ゲームから除外)されていってしまいます。そしてゲーム中に「解雇」されてしまった人から、「惑星生成シミュレータ」の体験に移行しました。
シミュレータでは、身振り手振りだけで、直感的に惑星生成が体験できます。惑星を作りたい恒星系の環境を設定し、腕を回して固体やガスの円盤を回転させる。惑星の種をひと粒落とすと、条件がそろうと「自分の惑星」ができあがり。惑星が育たず小天体ができてしまったり、中心の恒星に飲み込まれてしまったりするケースもありましたが、何人もの参加者が見事「岩石惑星」を作り上げていました。
※1 Kinect(キネクト):マイクロソフトから販売されたx-box360向けのデバイスです。コントローラーを用いずに操作が出来る体感型のゲームシステムで、ジェスチャーや音声認識によって直感的で自然なプレイが可能となるのが特徴です。
※2 人狼:「汝は人狼なりや?」というカードゲーム。村人たちは、紛れ込んだ「人狼」を探し出し、追放することを目的とします。「人狼」は村人を装い、こっそりと村人たちを食べてしまいます。村人は誰が人狼かわからず疑心暗鬼となり、人狼は追放を逃れるために村人を欺こうとするため、人間の怖い面が見られるゲームです。「惑星科学人狼」では「観測者」(村人)と「ハビタブル惑星」(人狼)の勢力に分かれて争いました。
特別講演会「宇宙と鉄道:意外につながる、ひと、もの、ことば」(3/23 13:30~)
コアなファンが多い鉄道と、宇宙のコラボイベントです。講師の半田利弘・鹿児島大学教授が電車の写真を見せると、すかさず「はやぶさ!」などと答える子供がいて会場は盛り上がりました。
来場者からは、「人工衛星が落ちない仕組みなどがわかって大変面白かった。宇宙エレベーターについて、宇宙ステーションまで5日もかかるので、エレベーターではなく夜行列車に近いと言っていたのが印象的でした」との感想が聞かれました。半田さんは「自然科学は専門性が増したおかげで縦割りで理解するようになり、つながりを忘れがちです。他分野のアイデアを持ってくるとうまくいくことがあるので、このようなイベントをきっかけに、違う観点で物事が見られるようになるといいと思います」と述べました。
一家に1枚 宇宙図2013 制作記念イベント(3/23 16:00~)
2007年に制作された「一家に一枚 宇宙図」が大幅にアップデートされて、2013年3月末にお目見えします。これを記念して、トークイベントとパネルディスカッションを行いました。
前半のトークでは、制作に関わった天文学者を中心に、新宇宙図の見方や2007年版からの変更点を解説。インフレーションの表現や、次々に新しい発見のある系外惑星の項目など、多くの箇所が改訂されました。情報量は2007年版からおよそ4割増しになり、「世界一浅く広く情報を網羅」しているとのこと。
後半では宇宙図の制作者のみならず、天文学者、建築家、美術家、コピーライター、哲学者らが登壇。「天文学」の枠を超えたディスカッションが行われました。
『ヒッグス粒子』発見で何が解決したのか?(3/23 18:30~)
土曜日の夜という時間帯にもかかわらず、熱心な参加者が講師の橋本省二・KEK教授の話に聞き入りました。「ゆるーく解説する」という目的を達成できたかはわかりませんが、面白かった、あるいは難しかったという様々な感想が聞かれました。
また、素粒子のイベントに必ず現れる小学生が今回も登場。するどい質問を投げかけ、他の参加者をうならせていました。