サブ課題A 究極の自然法則と宇宙開闢の解明

目的・意義

ミクロの世界での究極の物理法則の解明は、宇宙開闢の理解へとつながります。ヒッグス粒子の発見により、素粒子標準模型はあるエネルギー以下では確実なものとなりました。しかし、ダークマターを含んでいないなど、究極の物理法則としては不完全です。
SuperKEKBやJ-PARCなどの大規模精密実験・観測と呼応する、格子QCDによる精密計算を実現し、標準模型を精密に検証することで、これを超える理論の兆候をつかむことを目指します。また、標準理論から予想される初期宇宙での相転移現象の詳細な解明や、究極の理論と期待される超弦理論の解析を行います。
我が国における格子QCDの研究分野は、スパコン世界ランキングTOP500(1996)で1位を獲得したCP-PACSの例にもある通り、国際的にも強い競争力を持ってきました。現在でも大規模シミュレーションの分野で、国際的に主要と位置付けられたグループを持っています。今後は、国際共同プロジェクトの積極的な推進も求められています。

構成機関とメンバー

A体制

サブ課題責任者

橋本省二 Hashimoto Shoji 高エネルギー加速器研究機構 教授

メンバー

素粒子現象論
金児隆志 Kaneko Takashi 高エネルギー加速器研究機構 研究機関講師
橋本省二 Hashimoto Shoji 高エネルギー加速器研究機構 教授
松古栄夫 Matsufuru Hideo 高エネルギー加速器研究機構 助教
Brian Colquhoun 高エネルギー加速器研究機構 研究員
中山勝政 Nakayama Katsumasa 名古屋大学大学院理学研究科/高エネルギー加速器研究機構
大野木哲也 Onogi Tetsuya 大阪大学大学院理学研究科 教授
深谷英則 Fukaya Hidenori 大阪大学大学院理学研究科 助教
石川健一 Ishikawa Ken-ichi 広島大学大学院理学研究科 准教授
出渕 卓 Izubuchi Taku Group Leader, RIKEN BNL Research Center
富井正明 Tomii Masaaki Postdoctoral Research Scientist, Department of Physics, Columbia University

QCD相転移
青木保道 Aoki Yasumichi 高エネルギー加速器研究機構 特任准教授/RIKEN BNL Research Center
橋本省二 Hashimoto Shoji 高エネルギー加速器研究機構 教授
鈴木 渓 Suzuki Kei 高エネルギー加速器研究機構 研究員
Guido Cossu Senior Researcher, School of Physics and Astronomy, The University of Edinburgh
深谷英則 Fukaya Hidenori 大阪大学大学院理学研究科 助教

超弦理論
西村 淳 Nishimura Jun 高エネルギー加速器研究機構 准教授
金児隆志 Kaneko Takashi 高エネルギー加速器研究機構 研究機関講師
伊藤祐太 Ito Yuta 高エネルギー加速器研究機構 研究員
青木俊紘 Aoki Toshihiro 総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科
土屋麻人 Tsuchiya Asato 静岡大学大学院総合科学技術研究科 教授
松浦 壮 Matsuura So 慶應義塾大学商学部 准教授
東 武大 Azuma Takehiro 摂南大学理工学部 准教授
花田政範 Hanada Masanori 京都大学基礎物理学研究所 特定准教授
伊敷吾郎 Ishiki Goro 筑波大学数理物質系 助教
加堂大輔 Kadoh Daisuke 慶應義塾大学自然科学研究教育センター 特任助教
杉野文彦 Sugino Fumihiko Researcher, Institute for Basic Science, Korea
金森逸作 Kanamori Issaku 理化学研究所計算科学研究センター 研究員
島崎信二 Shimazaki Shinji 慶應義塾大学自然科学研究教育センター ポスドク研究員

将来の展望:10年後以降

  • SuperKEKBと連携してハドロン形状因子を精密に決定します。この因子は、素粒子標準模型を超える物理を探索する際に必要となります。
  • ビッグバンの過程で起こった相転移現象を定量的に解明します。
  • 超弦理論の重要な予言であるゲージ重力対応を精密に検証します。
  • 量子電磁力学の効果を取り入れる効率的な手法を確立します。初期宇宙の密度ゆらぎの計算にまで進め、宇宙背景輻射の観測結果と直接比較します。