データグリッド運用

全国の研究者がかかわる重点課題9では、大規模計算で得られた大量のデータ管理・移動が重要な課題となります。
HPCI戦略プログラム分野5では、独自のデータグリッドであるJLDG(Japan Lattice Data Grid)を整備運用してきました。ところが、管理するデータ量は年を追って増大しており、それに応じて新たな開発課題も生じてきています。重点課題9でもJLDGの整備運用を継続して行い、HPCI共有ストレージと連携しつつ、研究を進める基盤を整えていきます。

ILDG/JLDG

筑波大学計算科学研究センターにおいて、格子QCD基礎データを共有するためのデータグリッドであるILDG/JLDGの運用を行ってきました。格子QCDは、陽子や中性子といったハドロンを構成するクォーク間にはたらく“強い力”の理論「量子色力学(QCD)」をスーパーコンピュータによる数値シミュレーションを用いて計算する方法です。これは、クォーク質量などの基礎パラメータを決定し、新たな現象を予言します。
格子QCDの計算結果である配位データは、データグリッドによって国内外の研究者と共有されています。JLDG(Japan Lattice Data Grid)は、産業技術総合研究所と筑波大学が共同で開発した Gfarm によって構築された広域分散型ファイルシステムです。現在、筑波大学、高エネルギー加速器研究機構、京都大学、金沢大学、大阪大学、広島大学の6機関を専用ネットワークで接続しています。利用者は組織に属するサーバにアクセスするだけで、ファイルシステム上のファイルを、所在を意識することなく自由に利用することが可能です。
JLDG は、配位データを世界規模で共有するためのデータグリッド ILDG(International Lattice Data Grid)の一つの地域グリッドとしての機能も併せ持っています。ILDGは、JLDGに加えてUKQCD(イギリス)、LDG(ドイツ、フランス、イタリア)、USQCD(アメリカ)、CSSM(オーストラリア)の各地域グリッドを接続しており、世界中の研究者が日々JLDGにアクセスしています。

構成メンバー

  • 吉江友照 Tomoteru Yoshie 筑波大学計算科学研究センター 准教授
  • 建部修見 Osamu Tatebe 筑波大学計算科学研究センター 教授
  • 天笠俊之 Toshiyuki Amagasa 筑波大学計算科学研究センター 准教授
  • 浮田尚哉 Naoya Ukita 筑波大学計算科学研究センター 研究員
  • 松古栄夫 Hideo Matsufuru 高エネルギー加速器研究機構 助教
  • 石川健一 Ken’ichi Ishikawa 広島大学大学院理学研究科 准教授
  • 外川浩章 Hiroaki Togawa 大阪大学核物理研究センター 助教
  • 武田真滋 Shinji Takeda 金沢大学理工研究域 助教
  • 駒 佳明 Yoshiaki Koma 沼津工業高等専門学校教養科 講師