重点課題責任者あいさつ
2020年頃の共用開始を目指してスーパーコンピュータ「京」の次世代機、ポスト「京」の開発が進められています。ポスト「京」を使って最先端の成果をあげるため、研究およびアプリケーション開発を行うプロジェクトが、2016年度から本格的に始まったポスト「京」重点課題です。
ポスト「京」重点課題(9)「宇宙の基本法則と進化の解明」は、素粒子・原子核・宇宙物理の3分野にわたる物質創成史の解明という大きな目標に向けての重要なステップとなります。計算基礎科学連携拠点を運営母体として、多数の国内機関の協力、また大型実験・観測施設とも連携。HPCI戦略プログラム分野5で創出された研究成果や、組織運営の経験を生かして、研究とアプリ開発を行います。
重点課題9には3つのサブ課題があります。
サブ課題A「究極の自然法則と宇宙開闢の解明」は、素粒子標準模型の検証、初期宇宙の相転移現象の解明、究極の理論と期待される超弦理論の解析などを行います。SuperKEKBやJ-PARCなど大規模精密実験・観測との連携も強化していきます。
サブ課題B「物質創成史の解明と物質変換」は、戦略分野5を直接的に引き継いだ課題です。超新星爆発や中性子星連星合体など爆発的天体現象の解明や、重元素合成の謎に迫ります。J-PARC、RIBF、KAGRAなどの実験施設とも協力していきます。特に、2016年に初観測が発表された重力波から、宇宙に関する有益な情報を最大限引き出すために貢献していきます。また、核廃棄物処理に必須の核変換技術に向けた基礎研究を行います。
サブ課題C「大規模数値計算と広域宇宙観測データの融合による宇宙進化の解明」は、ダークマターの密度揺らぎ、流体力学や輻射輸送など天体形成に関わるシミュレーションを行います。また、すばる望遠鏡による観測データと大規模計算を融合したビッグデータ宇宙論を展開します。
以上の課題により、ポスト「京」に向けた研究およびアプリ開発を行い、宇宙の基本法則と進化の謎を解明していきたいと考えています。
2016年4月
ポスト「京」重点課題(9)「宇宙の基本法則と進化の解明」
課題責任者 青木慎也