サブ課題C 大規模数値計算と広域宇宙観測データの融合による宇宙進化の解明

目的・意義

2000年以降の観測により宇宙進化の概要が明らかになり、一方でダークマターやダークエネルギーとよばれる正体不明の要素の重要性が認識されました。銀河やブラックホールなどの天体は、膨張宇宙の中で互いに影響し合いながら生まれ、進化してきたことも観測的に明らかとなりました。
宇宙進化と天体形成を統一的に理解するためには、ダークマターの密度揺らぎ、流体力学や輻射輸送など天体形成に関わる基礎物理を取り入れたマルチフィジクスシミュレーションが必要です。計算科学の観点からは、様々な長さスケールで起こる多様な現象を取り扱うことができる計算コード開発が求められています。
今後10 年の間に、世界中で広域宇宙探査計画が進められます。日本が主導するすばるHSC サーベイでは、5億個の銀河、50万個の巨大ブラックホールを含む活動銀河、2万4千個の超新星が検出されると期待されています。これら大量の観測データと大規模計算を融合したビッグデータ宇宙論を展開し、宇宙進化と天体形成の歴史を解明します。

構成機関とメンバー

C体制

サブ課題責任者

吉田直紀 Yoshida Naoki 東京大学大学院理学系研究科 教授

メンバー

大木 平 Oogi Taira 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 特任研究員
大須賀 健 Ohsuga Ken 筑波大学計算科学研究センター 教授/国立天文台理論研究部 連携教授
川島朋尚 Kawashima Tomohisa 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト 特任助教
高橋博之 Takahashi Hiroyuki 中部大学工学部 講師
吉川耕司 Yoshikawa Kohji 筑波大学計算科学研究センター 講師
田中 賢 Tanaka Satoshi 筑波大学計算科学研究センター 研究員
松元亮治 Matsumoto Ryoji 千葉大学大学院理学研究院 教授
松本洋介 Matsumoto Yosuke 千葉大学大学院理学研究院 特任准教授
加藤成晃 Kato Yoshiaki 千葉大学大学院理学研究院 特任研究員
石山智明 Ishiyama Tomoaki 千葉大学統合情報センター 准教授

将来の展望:10年後以降

  • 高い並列化効率で6次元ボルツマンコードの数値シミュレーションを実現します。
  • 降着円盤の時間発展に対する磁気乱流の影響の解明、銀河中心核活動の統一的な理解、活動銀河で観測される高エネルギーガンマ線放射機構の解明を行います。
  • 大規模な銀河サーベイ観測と数値シミュレーションとの比較によるニュートリノ質量の絶対値を決定します。