ビッグバン直後の超音速ガス流が生んだモンスターブラックホールの種
東京大学大学院理学系研究科
京都大学大学院理学研究科
2017年9月29日
東京大学と京都大学を中心とする研究グループ(テキサス大学オースティン校天文学科の平野信吾 日本学術振興会海外特別研究員、京都大学大学院理学研究科の細川隆史准教授、東京大学大学院理学系研究科/国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の吉田直紀教授ら)は、「アテルイ※」をはじめとするスーパーコンピュータを用いたシミュレーションを行い、ビッグバン後の超音速ガス流から太陽の34,000倍もの重さをもつ巨大ブラックホールが誕生することを明らかにしました。この巨大ブラックホールが成長することで、これまでの観測で見つかった最遠方の宇宙に存在する超大質量ブラックホール(モンスターブラックホール)の起源と成長を説明することができます。
本研究成果はアメリカ科学誌「Science」のオンライン版に9月29日(米国EST時間)に公開されました。
この研究は、日本学術振興会科学研究費補助金(No. 14J02779, 25800102, 15H00776, 16H05996)、科学技術振興機構 CREST JPMHCR1414、文部科学省ポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」、およびドイツ研究振興協会(DFG)No. KU 2849/3-1のもとで実施されたものです。
くわしくは東京大学大学院理学系研究科のプレスリリースをご覧ください。
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/5566/
掲載論文
論文誌名 Science
論文タイトル Supersonic Gas Streams Enhance the Formation of Massive Black Holes in the Early Universe
著者 Shingo Hirano, Takashi Hosokawa, Naoki Yoshida, Rolf Kuiper
DOI番号 10.1126/science.aai9119
論文URL http://science.sciencemag.org/content/357/6358/1375
用語解説
※ 国立天文台天文シミュレーションプロジェクトが運用するスーパーコンピュータCray XC30の愛称。2013年4月より利用開始され、2014年9月のアップグレードで理論演算性能が約2倍に向上した。天文学専用のスーパーコンピュータとしては世界最速の性能をもつアテルイは、「理論天文学の望遠鏡」として活躍している。本研究のシミュレーションはこの他に、筑波大学計算科学研究センターの運営するスーパーコンピュータCOMAを利用して行われた。