東京大学・角田佑介特任研究員が第11回(2017年)日本物理学会若手奨励賞を受賞

東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの角田佑介(つのだ・ゆうすけ)特任研究員が、第11回(2017年)日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。大阪大学で開催された日本物理学会第72回年次大会会期中の3月18日に、授賞式が行われました。

受賞論文
Yusuke Tsunoda, Takaharu Otsuka, Noritaka Shimizu, Michio Honma, and Yutaka Utsuno, “Novel shape evolution in exotic Ni isotopes and configuration-dependent shell structure”, Phys. Rev. C 89 (2014) 031301(R).
日本語タイトル:Ni同位体における新奇な変形共存現象と核子配位に依存した殻進化の研究
受賞理由(核理論懇談会ホームページ)

原子核の不安定核において、異なった形状を持つ状態がほぼ等しいエネルギーで安定に存在する変形共存現象は、近年興味を持たれている研究課題です。
受賞論文は、Ni同位体の変形共存現象を調べたものです。モンテカルロ殻模型に原子核形状を解析する新しい手法を導入することで、中性子過剰な同位体における3種の変形状態の共存などが見い出されました。また、原子核の形状と粒子配位の変化に伴って動的に殻構造が変化する新しいタイプの殻進化「第二種殻進化」が提唱されています。
角田氏は、Ni領域において信頼性の高い殻模型計算を実現しました。また、モンテカルロ殻模型の波動関数から原子核形状の情報を引き出し、可視化する方法を考案しました。殻模型における変形共存現象の研究を可能にしたこの方法は、その後T-plotと呼ばれ、世界的に広く用いられています。
本論文は発表以来、国内外の注目を集めており、実験との共同研究によってその理論予測が証明されつつあります。また、第二種殻進化の概念が他の同位体にも適用されるなど、大きく発展しています。

本研究は、文部科学省HPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」および計算基礎科学連携拠点の協力で実施したものです。
引き続き、文部科学省ポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」でも、アプリケーション開発と研究を進めています。

角田佑介氏の受賞コメント
日本物理学会若手奨励賞という素晴らしい賞をいただき、大変光栄に存じます。これまでの核構造の研究への取り組みが評価されたことを大変嬉しく思います。今後もますます研究に励んでいきたいと思います。

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