スーパーコンピュータによる、宇宙初期から現在にいたる世界最大規模のダークマターシミュレーション
2015年5月1日
国立大学法人 千葉大学
自然科学研究機構 国立天文台
概要
千葉大学、東京経済大学、愛媛大学、東京大学、文教大学による研究グループは、理化学研究所計算科学研究機構のスーパーコンピュータ「京(けい)」※と、国立天文台の「アテルイ」※を用いた世界最大規模の宇宙の構造形成シミュレーションを行い、宇宙初期から現在にいたる約138億年のダークマターの構造形成、進化過程を従来よりも格段に良い精度で明らかにしました。本成果は、日本天文学会刊行の欧文研究報告誌、Publications of the Astronomical Society of Japan電子版に5月1日に掲載されます。
本研究は、HPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」(代表機関:筑波大学計算科学研究センター)のプロジェクトとして実施されました(課題番号:hp120286、hp130026、hp140212)。また科学研究費補助金(課題番号:24740115、25287041)、山田科学振興財団の援助を受けて実施されました。
詳しくは千葉大学のプレスリリースをご覧ください。
http://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/pdf/2015/20150501_1.pdf
発表雑誌
- 雑誌名:
- Publications of the Astronomical Society of Japan
- タイトル:
- The ν2GC Simulations : Quantifying the Dark Side of the Universe in the Planck Cosmology
- 著者:
- 石山智明(千葉大学)、榎基宏(東京経済大学)、小林正和(愛媛大学)、真喜屋龍(東京大学)、長島雅裕(文教大学)、大木平(文教大学)
- DOI:
- 10.1093/pasj/psv021
用語解説
- スーパーコンピュータ「京」
- 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。
- 「アテルイ」
- 国立天文台天文シミュレーションプロジェクトが運用する天文学専用のスーパーコンピュータ(Cray XC30)。理論演算性能は1.058ペタフロップス(1ペタは10の15乗)で、天文学の数値計算専用機としては世界最速である。岩手県奥州市にある国立天文台水沢キャンパスに設置されており、平安時代に活躍したこの土地の英雄アテルイにあやかり命名された。「勇猛果敢に宇宙の謎に挑んで欲しい」という願いが込められている。