2012年3月1日(木)~2日(金)に理化学研究所 計算科学研究機構(AICS)で、第2回AICS国際シンポジウム「Computer and Computational Sciences for Exascale Computing」が開かれました。海外招待講演者8名、国内招待講演者7名を含む120名の参加がありました。
平尾公彦・計算科学研究機構長のオープニング講演から始まったシンポジウムでは、2日にわたって、戦略プログラム5分野に相当する分野から各2名ずつ、計算機科学から6名の研究者が講演を行いました。それぞれの講演では、これまでの研究成果および2019年前後に到達すると予想されるエクサスケール(1 Exa Flops:1018フロップス)に向けた展望が紹介されました。
戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」の関連分野からは、まずチューリッヒ工科大学のPhilippe de Forcrand教授が「Lattice QCD at finite density(有限密度での格子QCD)」を講演しました。他分野からの参加者にQCD(量子色力学)とは何かを把握してもらうため、導入として、水の相図からクォーク-グルーオンの相図を説明するところから始めました。続いて格子QCDの説明を経て、研究内容の解説に入っていきました。
次に、理化学研究所仁科加速器研究センターの初田哲男主任研究員が「Recent Results in Particle and Nuclear Physics from Lattice QCD Simulations(格子QCDによる素粒子・原子核研究の最近の成果)」と題した講演を行いました。分野5のメンバーである初田さんは、分野5の説明から始めました。物質、ダークマター、ダークエネルギーで構成される現在の宇宙の姿を紹介した上で、問いを設定し、解決手段を提示するという形で研究紹介を行いました。「質量の起源は何か?」という問いに対し、物質のほとんどは陽子と中性子であることから、これをQCDによって解明していくと語りました。また、「原子核の起源は何か?」に対し、原子核だけでなく中性子星を理解することで答えを見つけていくとのことでした。
講演以外にも、ポスターセッションがあり、50名の研究者が発表しました。AICS国際シンポジウムは、今後も開催される予定です。
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