2022年2月4日にオンラインにて、第14回HPC-Phys勉強会を開催しました。この勉強会は、計算基礎科学連携拠点(JICFuS)と理化学研究所R-CCSの共催です。参加者は講師を含めて57名でした。
今回も前回同様にチュートリアル講演を含む形で2名の方に講師をお願いしました。
インテル製のCPUはノートパソコンからスーパーコンピュータまで幅広く使われており、日常的に使っている方も多いかと思います。そしてインテル社のコンパイラは、インテルCPU向けに生成する実行コードの実行効率が高く昔から人気があります。1つ目の講演では、インテル社の野村昴太郎さんにこのコンパイラを含む Intel(R) oneAPI Toolkits の解説をしていただきました。新しいコンパイラでは、GPU や FPGA も扱えるように拡張されているとのことです。コンパイラやプロファイラを含むパッケージ全体の構成についての解説の後、Intel DevCloud というクラウド環境を用いた使い方のデモがありました。デモを見ながら手元の環境や Intel DevCloud 上で実際に手を動かしてみた参加者もいたようです。oneAPI Toolkits では従来の製品とライセンス形態が大きく変更され、サポートが不要であれば無料での利用も可能になっています。資料は参加者のみへの公開となりましたが、最新の情報はインテル社のウェブサイト等で確認できます。
スパコン「富岳」のような大規模な計算機では、一つ一つの計算は計算機のごく一部のみを使っています。約15万ノード(「富岳」の場合)もある全体を効率的に用いて意味のある計算をするのは一筋縄には行きません。2つ目の講演では、富岳全体を一度に使って宇宙物理の計算に挑戦した話を、筑波大学の吉川耕司さんにお願いしました。スパコンに関する賞といえば速さを競う Top500 が有名ですが、速さだけでなく、大規模計算で得られるサイエンスまで含めて評価するのがゴルドン・ベル賞です。吉川さんの「富岳」での計算は、受賞こそ逃しましたが2021年のゴルドン・ベルのファイナリストになっています。シミュレーション手法の選択の話から、通常の研究会ではあまりしないような、プログラムの高速化に関する詳細を中心に解説してくださいました。画像は吉川さんの講演のスクリーショットです。
講演資料は、勉強会 web site からご覧になれます。
http://hpc-phys.kek.jp/
世話人の一人の金森さんからは
「勉強会の趣旨に合わせた講演を用意してくださった講師のお二人に感謝します。野村さんは理化学研究所や神戸大学の研究員の経歴があり、アカデミアでのHPCの経験を活かして企業でも活躍されています。吉川さんゴルドン・ベル賞ファイナリストついては、こちら https://www.jicfus.jp/jp/press20211028/も合わせてご覧ください。」
とコメントをいただきました。
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