計算基礎科学連携拠点を立ち上げた3機関(筑波大学計算科学研究センター、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台)は、従来から大規模なスーパーコンピュータを運用し、全国の研究者の共同利用に供してきました。素粒子・原子核・宇宙物理・惑星科学の理論的な研究分野で計算科学の果たす役割は大きくなっており、最先端の研究では必要な計算機の規模も必然的に大きくなっていきます。共同利用機関は、個別の大学や研究室では用意できない大規模な計算資源を提供することで最先端の研究を支援してきたわけです。
スーパーコンピュータ「富岳」が完成し、私たちを取り巻く計算環境も大きく変わってきます。超大規模計算は「富岳」を、それよりも小さいがやはり大規模な計算は共同利用機関の計算機を、それぞれ利用するような棲み分けが進むことになるでしょう。また、計算の規模が大きくなるにつれて並列化の多重度も大きくなり、それに対応するプログラムの作成もより難しくなっていくと思われます。
計算基礎科学連携拠点は、このような変化に対応して、全国の研究者がより研究しやすい計算環境を構築することで研究を支援していきます。具体的には、各機関で提供している計算機の共同利用に加えて、「富岳」で行われる超大規模計算の準備的研究への対応、これまでよりもアルゴリズムやアプリケーションの中身にまで踏み込んだユーザー支援、将来の中心研究課題につながる萌芽的プロジェクトの支援、全国のスーパーコンピュータでデータ共有を容易にするデータグリッドの運用、シンポジウム・ワークショップの開催による人的交流、スクールの開催による次世代を担う人材育成などに取り組む予定です。