2013.4.8 筑波大学 石山智明 研究員
宇宙には、普段われわれが目にする物質のほかに、質量にして5倍ほどのダークマターが存在します。ダークマターの重力進化を解明することは、宇宙の形成過程を明らかにすることにつながります。
筑波大学計算科学研究センターの石山智明研究員を中心とする研究グループは、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を用いて、約2兆個のダークマター粒子の重力進化の計算に成功しました。1兆粒子を超す規模のダークマターシミュレーションは世界最大であり、専用のアプリケーションを開発した上で「京」全体の約98%を使用し、実効性能5.67ペタフロップス(1秒間に0.567京回計算)を達成しました。この成果により、2012年11月に米国・ソルトレイクシティで開催された国際会議SC12において、計算科学で最も権威あるゴードン・ベル賞を受賞(プレスリリースはこちら)しました。
ダークマターの重力進化の計算は現在も進行中です。完了すると、現存する銀河のダークマターの微細構造や、成長過程が明らかになります。また、ダークマター粒子の観測方法の改良にもつながります。