バリオン間力
バリオン間力
ストレンジクォークからなるΩ粒子やチャームクォークからなるΩccc粒子をふくむ未知の2バリオン状態について、バリオン間力計算によりその存否を明らかにします。これは、重点課題9におけるダイオメガ(ΩΩ)状態の研究をさらに一般化するものです。早期成果創出のため、京での大規模計算の資産である(クォーク質量が自然界の値に近い)物理点近傍の格子QCDゲージ配位を用いた計算を行います。
次に、富岳での大規模資源とコデザインでの成果を活かし、(クォーク質量を自然界での値に置いた)物理点直上での格子QCDゲージ配位を生成します。バリオン間の相互作用を取り扱うのに十分な大体積(一辺8 fm以上)をとります。物理点直上でのバリオン間力を計算し、特に上記のダイバリオン状態について結論を得ます。
物理点直上計算においては、ストレンジクォークが入った一般のハイペロン力も対象とします。ここでは、ポスト京重点課題9で行った計算における統計・系統誤差のうち、特にクォーク質量のずれに起因する系統誤差を削減することを目的とします。S波とD波の中心力・テンソル力を系統的に計算し、特に実験において非常に注目されているストレンジネス−2のチャネル(NΞ、ΛΛなど)を中心とするハイペロン力を決定します。得られたバリオン間力をもとに、Ξハイパー核などのスペクトルを計算し、J-PARC実験に向けた予言を行う。また、重イオン衝突実験でのバリオン間相関を予言し、LHC実験と比較します。