研究会報告

開催報告:第10回 HPC-Phys 勉強会

2021年2月4日(木曜)に第10回HPC-Phys勉強会が開催されました。この勉強会は前回に続き、理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)共催のオンライン開催となりました。参加登録は講演者含めて 55名となりました。

今回はスーパーコンピュータ富岳を離れて、GPUに関する特集でした。

GPU は、もともと画面表示を手助けするためのハードウェアですが、その演算能力を活かして HPC の計算にも用いられています。

1つ目の講演では、GPU を開発している NVIDIA から丹愛彦さんをお招きして、GPU を用いた HPC の入門的な講演をお願いしました。GPU を使うためのフレームワークはいくつかありますが、その中でも比較的容易に HPC 向けのプログラムを作成できるNVIDIA HPC SDK の解説をしてくださいました。また、複数の物理モデル扱うシミュレーション向けの SIMNET の紹介もありました。講演資料の公開は参加者のみとなりましたが(参加者向けの公開も既に終了しています)、教えていただいた NVIDIA の公式資料へのリンクは勉強会の web site に載せてあります。公式のドキュメントだけではなく、training materials も含まれています。今回は座学のみだったので、参加した方も参加できなかった方も、この機会に手を動かしてみるのはいかがでしょうか。

2つ目の講演は、三木洋平さん(東京大学)に、重力多体系でのGPUの利用例を紹介していただきました。こちらは CUDA を用いた実装です。アルゴリズムの概略、コードの例、最適化の話とバランスよく解説して下さいました。またGPUの世代間での挙動の違いに苦しんだ話や、C/C++に毛が生えた程度の記述で十分な性能が出せるというメッセージは、ある程度GPUを使っている参加者にも初心者にも役立つお話でした。

前回より講演の時間を長く取ったので議論の時間は短かくなりましたが、参加者と講演者で濃密な議論がなされました。

なお、第2回と第3回 HPC-Phys 勉強会で GPU のチュートリアルを開催しているので、興味のある方はそちらの資料もご参照ください。

次回は6月頃に量子計算に関するテーマでの開催を予定しています。

講演資料は勉強会 web site
http://hpc-phys.kek.jp/
をご参照ください。

「富岳」成果創出加速プログラム

領域①人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
量子物質の創発と機能のための基礎科学 ―「富岳」と最先端実験の密連携による革新的強相関電子科学
領域①人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
全原子・粗視化分子動力学による細胞内分子動態の解明
領域①人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
シミュレーションで探る基礎科学:素粒子の基本法則から元素の生成まで
領域①人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
大規模データ解析と人工知能技術によるがんの起源と多様性の解明
領域①人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
脳結合データ解析と機能構造推定に基づくヒトスケール全脳シミュレーション
領域①人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
核燃焼プラズマ閉じ込め物理の開拓
領域②国民の生命・財産を守る取組の強化
プレシジョンメディスンを加速する創薬ビッグデータ統合システムの推進
領域②国民の生命・財産を守る取組の強化
防災・減災に資する新時代の大アンサンブル気象・大気環境予測
領域②国民の生命・財産を守る取組の強化
マルチスケール心臓シミュレータと大規模臨床データの革新的統合による心不全パンデミックの克服
領域②国民の生命・財産を守る取組の強化
大規模数値シミュレーションによる地震発生から地震動・地盤増幅評価までの統合的予測システムの構築とその社会実装
領域③産業競争力の強化
省エネルギー次世代半導体デバイス開発のための量子論マルチシミュレーション
領域③産業競争力の強化
「富岳」を利用した革新的流体性能予測技術の研究開発
領域③産業競争力の強化
航空機フライト試験を代替する近未来型設計技術の先導的実証研究
域③産業競争力の強化
次世代二次電池・燃料電池開発によるET革命に向けた計算・データ材料科学研究
領域③産業競争力の強化
環境適合型機能性化学品
領域③産業競争力の強化
大規模計算とデータ駆動手法による高性能永久磁石の開発
領域③産業競争力の強化
スーパーシミュレーションとAI を連携活用した実機クリーンエネルギーシステムのデジタルツインの構築と活用
領域④研究基盤
全脳血液循環シミュレーションデータ 科学に基づく個別化医療支援技術の開発