宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマースクールが、2012年8月6日~10日、千葉大学アカデミックリンクセンターなどで行われました。5日間にわたるスクールの受講生は42人。多くは修士の学生でしたが、博士学生、研究員も参加し、千葉大学情報処理演習室の教育用端末を用いてそれぞれの課題に取り組みました。
松元亮治(まつもと・りょうじ)・千葉大学教授のグループでは、荷電粒子系をマクロに扱う磁気流体モデルに基づく宇宙磁気流体シミュレータ「CANS(Coordinated Astronomical Numerical Software)」を開発・公開して、初心者でも磁気流体現象のシミュレーションを実施できる環境を整備してきました。それを拡張した、プラズマを粒子的に扱う電磁粒子モデルに基づくプラズマ粒子シミュレータ「pCANS」の開発も進めてきました。本サマースクールでは、これらを教材として用い、講義および演習を行いました。
演習でに、千葉大学総合メディア基盤センターのHITACHI SR16000や宇宙物理研究室のサーバー計算機を使用しました。また、東京大学情報基盤センターのFX10(Oakleaf-FX)の教育利用が認められたおかげで、192コア15分のジョブを実行することができました。
講師は8人、それに演習担当も8人という手厚い講師陣に導かれて、宇宙磁気流体およびプラズマのシミュレーションについて学び、さまざまな課題に取り組みました。
最終日には応用課題演習の発表会があり、42人が9グループに分かれ、15分ずつの発表を行いました。課題は以下の9つです。太陽活動、降着円盤とジェット形成、ジェット伝搬、Parker不安定性による分子雲形成、輻射磁気流体、Weibel不安定性、運動論的リコネクション、無衝突衝撃波、Kelvin-Helmholtz不安定性。5日間という限られた時間で、各々が力を尽くした課題発表会でした(講義資料、発表スライドはウエブに掲載しています)。
サマースクールの世話人である松元教授は、最後に、「参加くださった皆さんお疲れ様でした。次回は未定ですが、今後も企画しようと考えています」と結びました。実は磁気流体サマースクールは2004年まで開催されており、以前はリピーター向けのアドバンストコースを作ったりもしていました。そのあたりも含めて、次回の開催を検討するとのことでした。