HPCI戦略プログラム分野5 » スクール報告 http://www.jicfus.jp/field5/jp Tue, 01 Mar 2016 05:48:22 +0000 ja hourly 1 http://wordpress.org/?v=4.2.7 核物理学を学ぶ国際スクール-CNSSS15 ../../../150826-0901cnssummerschool/ ../../../150826-0901cnssummerschool/#comments Fri, 11 Sep 2015 06:47:29 +0000 ../../../?p=5324 続きを読む ]]> 2015年8月26日(水)~9月1日(火)に理化学研究所仁科ホールと東京大学小柴ホールにて、第14回CNS国際サマースクール(CNSSS15)が開催されました。世界中から105 名の研究者・大学院生らが参加、うちアジア(中国、韓国、ベトナム、香港)から18名の参加がありました。

集合写真

画像提供:東京大学理学系研究科附属原子核科学研究センター

今年のサマースクールは、国内外から8人の講師を招聘。若手セッションの講演が34件、ポスター発表が19件と、活発な成果発表や情報交換がされました。講義および講演のたびに多くの大学院生から質問があり、議論が交わされ、熱気あふれるものでした。

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配信講義:CMSI計算科学技術特論Aがスタート ../../../150409-0723school/ ../../../150409-0723school/#comments Thu, 09 Apr 2015 09:34:06 +0000 ../../../?p=5070 続きを読む ]]> 150409-0723school

初回の筑波大会場の様子。講師は東京大学情報基盤センターの片桐孝洋氏

CMSI計算科学技術特論Aは、物性物理、分子科学、材料科学などに関連する科学技術計算ソフトウエアの開発ができる人材の育成を目的とする講義です。全15回、受講には事前申込みが必要です。
計算物質科学イニシアティブ(HPCI戦略プログラム分野2)主催で、HPCI戦略プログラム分野5も協力しています。

2015年4月9日(木)~7月23日(木)全15回
本会場:大阪大学豊中キャンパス
配信会場:東北大(青葉山、片平)、筑波大、東大(柏、駒場、本郷)、金沢大、豊橋技科大、分子研、名大、京大、阪大(吹田)、CMSI神戸

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超新星爆発を起こす難しさ-サマースクール「クォークから超新星爆発まで」 ../../../130820-24summerschool_houkoku/ ../../../130820-24summerschool_houkoku/#comments Mon, 26 May 2014 05:34:24 +0000 ../../../?p=4490 続きを読む ]]> 2013年8月20日(火)~8月24日(土)に京都大学基礎物理学研究所で、3回目となるサマースクール「クォークから超新星爆発まで-基礎物理の理想への挑戦-」が開催されました。京都大学教授の青木愼也(あおき・しんや)校長、23人の講師・ティーチングアシスタント(TA)の元、37人の受講生が数値シミュレーションを学びました。

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受講生は、1~2日目は格子QCDシミュレーションによりクォークの質量と核力を求め(QCDコース)、3日目は求めた核力を利用して密度汎関数理論による原子核計算(原子核コース)を、4~5日目には求めた核力を導入して超新星爆発シミュレーション(宇宙コース)をそれぞれが行い、物質の階層を越えた最前線の数値シミュレーションを体験しました。各コースの初めには、最前線で活躍する研究者の講義があり、その後、実践講座に臨みました。

サマースクールの目的を話す青木氏

サマースクールの目的を話す青木氏

初めに青木校長がスクールの全体的な流れを説明したあと、このスクール運営に関わる新学術領域研究「素核宇宙融合による計算科学に基づいた重層的物質構造の解明」(領域代表者・青木慎也、2008年度-2012年度)計算基礎科学連携拠点、HPCI戦略プログラム分野5の紹介をしながら、素粒子、原子核、宇宙分野がお互いの接点できっちり共同研究をすることで連携してきたことを説明し、「このサマースクールの趣旨は、その結びつきを体験してもらうことです」と話しました。

続いてオリエンテーションがあり、スーパーコンピュータへのログインの仕方、UNIXコマンドを用いてディレクトリ間の移動やファイルのコピー、解凍などの基本的な作業の方法、gnuplot(グニュプロット)と呼ばれるグラフィックツールを用いて格子QCDで計算されたデータのプロットなどを学びました。

格子QCD実習後

実習後、受講生らの質問に丁寧に答える松古氏

初日から始まったQCDコースでは、橋本省二(はしもと・しょうじ)高エネルギー加速器研究機構(KEK)教授が、格子QCDシミュレーションの手法について簡単に説明した後、研究の最前線について講義し、標準理論のほころびを探そうと呼びかけました。講義後には受講生からたくさんの質問が寄せられました。
休憩をはさんですぐに「格子QCDシミュレーションによるハドロン質量の計算」の実習がKEKの松古栄夫(まつふる・ひでお)助教が中心となり始まりました。2012年7月に公開された格子QCD共通コード「Bridge++」を用いて、CP-PACSコラボレーションによって生成された配位データからクォークの伝搬関数を解き、ハドロンの相関関数を組むプログラムを使って、π中間子、ρ中間子、陽子の質量を算出しました。実習に使われた配位データも格子QCD共通コードも公開されているので、興味をもった受講生は、スクール後も自分で研究を進めることができます。

格子QCD実習中

2日目のQCDコースの様子

2日目のQCDコースは、土井琢身(どい・たくみ)理化学研究所研究員、石井理修(いしい・のりよし)筑波大学准教授が中心となり、「格子QCDによるニ核子間に働く核力の計算」を行いました。
QCDから核力を求めるのは大きな難問でした。QCDの生みの親の一人でノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎(なんぶ・よういちろう)博士が、15年ほど前の著書で“QCDから計算によって核力を求めるのは無理な話だ”と書いているほどでした。しかし、2007年、青木校長、初田副校長、石井准教授の研究によりブレークスルーがなされ、格子QCD計算によって核力が求められるようになりました。受講生からは「学部生のときに計算した傾きから質量を求めたことはあるが、その時は作業のように計算していました。今回は相関関数からどのように質量が出てくるのか説明があった上で計算でき、学びなおせてよかったです」と話しました。

緒方氏

緒方一介氏

3日目の原子核コースは、緒方一介(おがた・かずゆき)大阪大学准教授の「微視的反応論を用いた実証的原子核物理学のすすめ」と題する講義からスタートしました。緒方氏は素粒子・原子核・宇宙の繋がりを見渡したときの原子核物理の面白さとして、不安定原子核のハロー構造を示し、その大きさ(反応断面積)を核力をもとに求める方法を説明しました。Ne中性子過剰核の計算結果が実験で求められた反応断面積とよく合っていることを示し、原子核の性質を定量的に実証できると話しました。

原子核コースの実習の様子

原子核コースの実習の様子

続く実践講座原子核コースでは、サマースクールシリーズ初となる密度汎関数理論による原子核計算の実習が行われました。理化学研究所の中務孝(なかつかさ・たかし)准主任研究員、鷲山広平(わしやま・こうへい)基礎科学特別研究員、佐藤弘一(さとう・こういち)基礎科学特別研究員が中心となり、密度汎関数理論を用いて質量数の違いによる基底状態の原子核の形を計算し、中性子を束縛できなくなる限界の中性子数である中性子ドリップラインや陽子ドリップラインをスズの原子核で求めました。受講生は「シェル構造が視覚的に見えたのがよかった」と感想を寄せました。

キャプション

山田章一氏

4日目からはいよいよ宇宙コースです。はじめに山田章一(やまだ・しょういち)早稲田大学教授から、超新星爆発の物理と数値シミュレーションについて講義がありました。山田教授は最新のシミュレーション結果を見せながら超新星爆発について詳しく解説し、超新星爆発と関連した高エネルギー現象は、我々にハドロンとニュートリノ物理に関するかけがえのない情報を提供するでしょうと、話しました。

続いて住吉光介(すみよし・こうすけ)沼津工業高等専門学校教授、鷹野正利(たかの・まさとし)早稲田大学教授、長倉洋樹(ながくら・ひろき)京都大学研究員が中心となり、シミュレーションで超新星爆発を起こすことを目指して実習が始まりました。
前半は、2日目に求めた核力から中性子物質の一核子あたりのエネルギー(状態方程式)を求め、それを元に、中性子星内部の物質はどのような性質を持っているのかを系統的に数値計算をして調べました。次に非圧縮率Kの違いによる状態方程式の変化によって中性子星・超新星コアの性質がどのように変わるのかを調べ、状態方程式が爆発にどのような影響を与えうるのかを学びました。

キャプション

超新星爆発の数値シミュレーションの結果を見せ合う受講生

後半は、いよいよ超新星爆発の数値シミュレーションに取り組みました。まず、1次元(球対称)の超新星爆発計算を行い、ニュートリノの効果の有無により爆発する/しないが大きく異なることを確かめました。最後に、受講生自らが選んだ非圧縮率Kの値で、2次元の超新星爆発シミュレーションの計算ジョブをスーパーコンピュータに投入して、この日の実習は終わりました。それぞれが異なる値を選んでシミュレーションしたグループもありました。

キャプション

超新星爆発した人?

そして次の日の朝……受講生の20%から30%が爆発させられましたが、他は爆発せずに、ブラックホールに至る例になってしまいました。しかし、この日の本番はこれからです。実際の研究でも、爆発したら終わりではなく、なぜ爆発したのか、しなかったのか、その原因の解析が必要です。受講生は計算データからムービーを作成するなどして、爆発すれすれの状況を解析しながら、爆発が多次元的に起こる様子について理解を進めました。超新星爆発では状態方程式が重要な鍵であることを学び、核物理と天体現象のつながりについて、シミュレーションで実感しました。

終了証

修了書授与式。青木校長(左)と村上祐子さん(右)

広島大学の村上祐子さんは「超新星爆発をさせる上で考えなくてはいけないパラメータがたくさんあることを実感し、超新星爆発がどんな風に大変か身にしみてわかりました。今回はそれでも簡単なモデルを扱ったので、最前線は相当ハードだと思いました」と話していました。こうして、クォークから超新星爆発までの一貫したストーリーが完結しました。

最終日の午後は、青木校長による3講座のまとめと、修了書授与式がありました。青木校長は「暑い中、本当にお疲れ様でした。このサマースクールがきっかけとなって、我々の分野に参入してくれる研究者が増えることを期待します」と話し、最後に受講生一人ひとりに青木校長から修了書が手渡され、サマースクールは無事終了しました。

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精緻なシミュレーションを目指して-宇宙磁気流体・プラズマサマースクール ../../../130805-09summerschool_houkoku/ ../../../130805-09summerschool_houkoku/#comments Tue, 20 May 2014 11:30:28 +0000 ../../../?p=4449 続きを読む ]]> 130805-09summerschool62013年8月5日(月)午後~8月9日(金)に千葉大学統合情報センターにて、宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマースクールが5人の講師のもとに開催され、大学院生を中心に18人の参加がありました。
今回は昨年のスクールの発展型として、すでに宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションの経験をもつ大学院生・研究者を主な対象としました。一次精度、1次元磁気流体シミュレーションコードの作成を目標としたところ参加者全員がクリアし、中には二次精度、3次元シミュレーションまで到達した受講生もいました。

スクールは松元教授のあいさつから始まった

スクールは松元教授のあいさつから始まった

はじめに世話人である千葉大学の松元亮治(まつもと・りょうじ)教授が、スクールの目標を話しました。「昨年度は、宇宙磁気流体シミュレータCANS(Coordinated Astronomical Numerical Software)に加えて、電磁粒子モデルに基づくプラズマ粒子シミュレータpCANSを教材とし、シミュレーション初心者向けのサマースクールを開催しました。今年度は経験者を主な対象とし、一次精度、1次元シミュレーションを目標としています。また、すでにコードを開発している人向けに、高速化・可視化のコースも用意しています」。

三好隆博助教の講義の様子

三好助教の講義の様子

続けて松元教授の「差分法の基礎」、広島大学の三好隆博(みよし・たかひろ)助教の「近似リーマン解法による磁気流体方程式の差分解法」と題する講義がありました。近似リーマン解法の1つであるHLLD法は、解像度、計算効率の全てに優れた磁気流体力学(MHD)方程式の解法で講師の三好氏らが開発したものです。講義の中で詳しい説明がありました。

休憩後、千葉大学の松本洋介(まつもと・ようすけ)特任助教から演習室の使い方の説明を受けた後、MHDコード作成(C、C++言語)、MHDコード作成(FORTRAN)、手持ちのコードの高速化や可視化の3グループに別れ実習に臨みました。
1日目の夜には懇親会があり、講師も受講生も打ち解けた様子でした。修士課程1年の受講生からは、異口同音についていけるか心配だとの声が聞かれました。

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簑島氏(右)の説明を真剣な面持ちで聞く受講生ら(左)

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高次精度化したシミュレーション結果を可視化したアニメーションを紹介する簑島氏

2日目午前は、松本助教による「スカラチューニング・OpenMPによるコードの高速化」、「IDLによる解析・可視化」の講義が行われました。海洋開発研究機構の簑島敬(みのしま・たかし)研究員は、高次精度化したシミュレーション結果を可視化したアニメーションを紹介しました。精度を上げるとシミュレーションのきめが細かくなります。受講生たちは一次精度のアニメーションと高次精度のアニメーションを見比べ違いを確認しました。その後、2日目午後から5日目午前まで実習が続きました。

発表会中には受講生からたくさんの質問が寄せられた

発表会でも受講生からたくさんの質問が寄せられた

最終日5日目午後には発表会が行われました。MHDコード作成グループの受講生全員が、一次精度、1次元のシミュレーションを達成していました。修士1年生の参加者の中にも2次元コードの作成・高次精度化まで進めた受講生もおり、講師陣を驚かせました。高速化や可視化グループではスカラチューニング・OpenMPによるスレッド並列化で、13倍程度まで高速化させた受講生もいました。

演習担当の国立天文台・高橋博之(たかはし・ひろゆき)特任助教は、「自分がコードのデバックをするときは一人で閉じこもってやるしかありませんが、このサマースクールでは最先端の研究をしているコーディングのプロに見てもらえます。自分も学生のときにこのようなスクールに参加したかったです」と話しました。
松元教授は、「この分野の先駆者は1年かけて一次精度、1次元のコードを開発しました。参加者はそれを5日で達成しました。この成果を各々の研究テーマに活用していってほしいです」と話しました。

用語解説

近似リーマン解法
圧縮性流体方程式に対する代表的な衝突波捕獲法で、HLL(Harten-Lax-van Leer)法、Roe法などがある。HLL法を、プラズマの巨視的なダイナミクスを記述する基礎方程式である磁気流体力学(MHD)方程式に拡張した解法として、HLLD(Harten-Lax-van Leer Discontinuities)法が広く用いられている。
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SI配信講義:CMSI計算科学技術 特論Bがスタート ../../../140410-0724school/ ../../../140410-0724school/#comments Thu, 10 Apr 2014 05:38:12 +0000 ../../../?p=4352 続きを読む ]]> 初回の筑波大会場の様子。講師は計算科学研究機構の南 一生氏

初回の筑波大会場の様子。講師は計算科学研究機構の南 一生氏

CMSI計算科学技術 特論Bは物性物理、分子科学、材料科学などに関連する科学技術計算ソフトウエアの開発ができる人材の育成を目的とする講義です。計算物質科学イニシアティブ(HPCI戦略プログラム分野2)主催で、HPCI戦略プログラム分野5も協力しています。

ウエブページ:
http://www.cms-initiative.jp/ja/events/2014-haishin

4月10日(木)~7月24日(木)全15回
会場:CMSI神戸拠点。その他、東北大(青葉山、片平)、産総研、筑波大、東大(柏、駒場、本郷)、金沢大、豊橋技科大、分子研、名大、京大、阪大(豊中、吹田)に配信。

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大雪を乗り越えて核物理を学ぶ-SNP School 2014 ../../../140213-19school_houkoku/ ../../../140213-19school_houkoku/#comments Mon, 17 Mar 2014 02:26:24 +0000 ../../../?p=4307 続きを読む ]]> 2014年2月13日(木)~19日(水)の7日間、国際スクール「International School for Strangeness Nuclear Physics;SNP School 2014」が開催されました。前半の3日間は茨城量子ビーム研究センター(茨城県東海村)で、後半の3日間は東北大学川内キャンパスおよび作並温泉で行われ、海外からの33名を含む73名が参加しました。

SNP Schoolは、理論、実験、計算科学で盛んに研究が進められているハドロン物理を含む広い意味でのストレンジネス核物理の現状を、次世代の核物理学を背負って立つ強い意欲のある学生や若い研究者に講義することを目的に、毎年行っています。
今年は、12名の講師(日本人6名、外国人6名)による講義、ヤングセッション、ポスターセッションがあり、ほかにJ-PARC見学、東北大学電子光理学研究センター(ELPH)見学などが催されました。このうち、ヤングセッション(Young researcher’s session)で最優秀だった口頭発表者とポスター発表者には橋本賞、次点に奨励賞が授与されました。橋本賞は、口頭発表では横田 朗氏(東工大)、ポスター発表ではMadhumita Dhar氏(Gießen)に与えられ、奨励賞は、口頭発表ではDaniel Gazda氏(ECT Trento)、ポスター発表では市川裕大氏(京大)に授けられました。

HPCI戦略プログラム分野5で招聘したJ. Vary教授が講義する

HPCI戦略プログラム分野5で招聘したJ. Vary教授が講義する

橋本賞および奨励賞の受賞者。左から横田氏、Gazda氏、Dhar氏、右端がプレゼンターである原子力研究開発機構の今井憲一グループリーダー

橋本賞および奨励賞の受賞者。左から横田氏、Gazda氏、Dhar氏、右端がプレゼンターである原子力研究開発機構の今井憲一グループリーダー

今年は、日本全国が2週連続で大雪・大雨に見舞われた時期に重なり、茨城での前半3日間を終えた後の仙台への移動が大変でした。大雪のため、途中で大型バスが完全にスタックし、急遽バスを乗り捨てて新幹線で移動するというアクシデントに遭いました。
なんとか仙台に到着し、後半のスクールも問題なく開始できましたが、残念ながら当初予定されていた会津城へのエクスカーションは中止せざるをえませんでした。しかし、作並温泉で行われたサマリーセッションで、参加者の一人は「バスで何時間もトラップされ、最後に新幹線に皆で乗るという旅自体が最高のエクスカーションであり、忘れられない思い出になった」と感想を述べました。

質問する学生たち

質問する学生たち

ポスターセッション

ポスターセッション

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HPC Summer School 2013で異分野交流を行い学んだこと ../../../130623-28hpc-summer-school/ ../../../130623-28hpc-summer-school/#comments Fri, 14 Feb 2014 08:42:55 +0000 ../../../?p=4212 続きを読む ]]> CIMG1395

Washington Square にて

2013年6月23日から28日にかけて、アメリカ・ニューヨークにてHPC SummerSchoolがありました。アメリカ、ヨーロッパ、日本を中心に、計算科学を学ぶ学生やポスドクらが60名程度集まり、HPCについて講義や演習を受け、参加者間での交流を行いました。

スクールでは、物理や情報科学などの様々な分野でHPCがどのように使われているかの講義、OpenMP、CUDAや可視化・動画化などの簡単なプログラムを使った演習などが行われました。ほとんどの講義や演習がパラレルになっており、自分の興味やレベルに合わせて選択することが出来ました。また、いくつかのグループに別れて、今どんな課題を抱えているかを互いに話し合い、解決方法を探るディスカッションの時間もありました。

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講義の様子

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ディスカッションの様子

ディスカッションなどで他の分野の学生に自分の研究を説明したり、似た様な問題を抱えている他の分野の研究者と一緒に議論をすることで自分の研究への理解が深まりその後の研究に役に立ちました。また、他の分野の講義を受けることで、今まで関わりの無かった分野がHPCという接点で自分の分野と結びつきより身近に感じることができるようになりました。

2014年は6月1日~6日に、ハンガリー・ブタペストにて行われます。現在、数値計算などで課題を抱えていたり、他の分野でHPCがどのように使われているかに興味のある方は理化学研究所のこちらの記事を参考に、ぜひ参加を検討してみてください。

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格子QCDから核力、核力から多体系・超新星爆発を5日間で! ../../../120727-31summerschool_houkoku/ ../../../120727-31summerschool_houkoku/#comments Tue, 02 Apr 2013 03:00:52 +0000 ../../../?p=3350 続きを読む ]]> 2012年7月27日(金)~31日(火)、京都大学基礎物理学研究所(基研)でサマースクール「クォークから超新星爆発まで—基礎物理の理想への挑戦—」が、筑波大学教授の青木 愼也(あおき・しんや)校長、理化学研究所主任研究員の初田 哲男(はつだ・てつお)副校長の元に開催され、受講生30人、講師・ティーチングアシスタント(TA)31人の参加がありました。

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初田 哲男 副校長

最初の講演で初田副校長は、「素粒子、原子核、宇宙分野の計算科学研究者の連携によって、物質の階層を超えた研究領域の形成が進められています。このサマースクールの目的は、このような研究活動を関連分野の研究者に幅広く知ってもらうことです。一人ひとりがスーパーコンピュータを用いて、最先端の研究である格子QCDによるハドロン質量の計算、格子QCDによる核力の計算、求めた核力を用いた原子核の多体問題の計算、核力に基づいた中性子星の計算をし、そして最後に超新星爆発をおこしてみましょう。楽しんでください!」と話しました。

5日間のサマースクールは、初日と2日目にオリエンテーションと素粒子パート、3日目は原子核パート、4日と5日目は宇宙パートとまとめに分けて行われました。各パートの初めには最前線で活躍している研究者の講義があり、その後実践講座に臨みます。

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橋本 省二 教授

初日から始まった素粒子パートでは、橋本 省二(はしもと・しょうじ)高エネルギー加速器研究機構(KEK)教授が、格子QCDシミュレーションの手法について簡単に説明した後、研究の現状について講義し、標準理論のほころびを探そうと呼びかけました。講義後には受講生からたくさんの質問が寄せられました。

続いてオリエンテーションがあり、実際にスパコンのフロントエンドにログインし、ユニックスコマンドを用いてディレクトリ間の移動やファイルのコピー、解凍などの基本的な作業と、gnuplot(グニュプロット)と呼ばれるグラフィックツールを用いて、格子QCDで計算された有効質量のデータのプロットなどをおこないました。

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講義終了後も熱心に質問する参加者と真剣に答える講師たち

休憩をはさんですぐに「格子QCDシミュレーションによるハドロン質量の計算」の実習が始まりました。2012年7月に公開された格子QCD共通コード「Bridge++」を用いて、CP-PACSコラボレーションによって生成された配位データからクォークの伝搬関数を解きハドロンの相関関数を組むプログラムを使って、π中間子、ρ中間子、陽子の質量を算出しました。実習に使われた配位データも格子QCD共通コードも公開されているので、興味をもった受講生は、スクール後も自分で研究を進めることができます。

実習の中心となった松古 栄夫(まつふる・ひでお)KEK助教は、「受講生は、Unixコマンドなどの操作に最初は慣れていない様子でしたが、慣れていくにしたがい、独自でグラフのプロットができるようになっていきました」と、受講生の成長ぶりに驚いた様子でした。

2日目の素粒子パートは、土井 琢身(どい・たくみ)理化学研究所研究員、石井 理修(いしい・のりよし)筑波大学准教授が中心となり、格子QCDによるニ核子間に働く核力の計算を行いました。ここで求める核力の値は3日目以降の原子核パート、宇宙パートにも使います。

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講義中もたくさんの質問が寄せられた

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受講者からの質問に答える石井 理修 准教授



120727-31summerschool-surasuraQCDから核力を求める問題は、QCDの生みの親の一人でノーベル賞受賞者の南部陽一郎(なんぶ・よういちろう)博士が、15年ほど前の著書で“QCDから計算によって核力を求めるのは無理な話だ”と書いているほどの難問でした。しかし、青木校長、初田副校長、石井准教授の研究により、2007年にブレークスルーがなされ、格子QCD計算によって核力が求められるようになりました。

受講生は、時折出される量子力学の問題にスラスラと答えたり、時には悪戦苦闘したりしながら、このブレークスルーについての理論的枠組みについて理解を進め、実際に格子QCDから核力を決定する計算を体験しました。

実習の中心となった土井氏は「分かっているからこそできる質問が多かった。受講生はみな優秀ですね」と、話しました。

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延與 佳子准教授

3日目の原子核パートは延與 佳子(えんよ・よしこ)京都大学准教授の「反対称化分子動力学法による原子核クラスター現象の解明」と題する講義からスタートしました。反対称化分子動力学法(AMD)では、基底状態のシェル模型から励起状態のクラスター模型、核子がバラバラでクラスターが存在しない状態までもシミュレーションすることができます。AMDにより不安定核をシミュレーションした結果、原子核の構造は陽子数、中性子数、エネルギーによって異なることを、図を見せながら説明し、不安定核研究の面白さを語りました。延與准教授の研究内容は原子核研究の最先端だけあって、講義後は受講生だけでなく、講師陣からも多くの質問が寄せられていました。

続く実践講座 原子核コースでは、肥山 詠美子(ひやま・えみこ)理化学研究所准主任研究員が中心となっておこなわれ、受講生は2日目に格子QCD計算から求めた核力を用いて、重陽子、3H、3He、4Heの2体系から4体系の計算に挑戦しました。

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3体系、4体系問題を説明する肥山 詠美子 准主任研究員

これらの少数系は、現実的核力の妥当性をチェックするために有効な系であると考えらており、これまで少数多体系分野で、さまざまな手法で計算されて来ました。なかでも、4Heの4体計算は現在も世界最前線の課題の一つでもあります。

4Heの束縛エネルギーの実験値は-28.4MeV。陽子と中性子がバラバラの状態である0MeVから、-28.4MeVに近づけるべく、2タイプのヤコビ座標に基づき、各方向の核運動量、アイソスピンなどの組み合わせを何通りも考えてパラメータとして入力し、束縛エネルギーをスパコンで計算しました。

一番実験値に近づけたのは、東京大学の谷崎佑弥さん。16個の組み合わせを見つけ、-27.9MeVまで下げることができました。「1組分かったら当たりをつけられたので、それほど苦労はしませんでした。コンピュータを使ったことがなかったのですが、技術として面白いと思いました」と、感想を話していました。

120727-31summerschool-photo肥山准主任研究員が最後に、27組の答えを見せると、受講生たちはカメラや携帯電話などで写真に記録し、自分の結果と見比べていました。肥山氏は「(自力で計算させるなど)締めるところは締め、最後には緩めて答えを教えました」と、講義を振り返りました。東京大学の宮城宇志さんは、「学部の量子力学では、解ける方程式だけを扱ってきました。解けない問題を無理やり解こうとすると探し出すしかなく、そこに職人技を見ました」と、原子核実習についての感想を話していました。多くの受講生から、自力で計算した原子核実習は印象深かったという感想が聞かれました。

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山田 章一 教授

4日目からはいよいよ宇宙パートが始まりました。はじめに山田 章一(やまだ・しょういち)早稲田大学教授から、超新星爆発の物理と数値シミュレーションについて講義がありました。山田教授は超新星爆発について詳しく解説し、超新星爆発と関連した高エネルギー現象は、われわれにハドロンとニュートリノ物理に関するかけがえのない情報を提供するでしょうと、話しました。

続いて住吉光介(すみよし・こうすけ)沼津工業高等専門学校准教授、鷹野正利(たかの・まさとし)早稲田大学教授、固武 慶(こたけ・けい)国立天文台助教、 滝脇 知也(たきわき・ともや)国立天文台特任助教、諏訪 雄大(すわ・ゆうだい)京都大学特任助教が中心となり、シミュレーションで超新星爆発を起こすことを目指して実習が始まりました。

120727-31summerschool-zentai前半は、2日目に求めた核力から中性子物質の一核子あたりのエネルギー(状態方程式)を求め、それを元に、中性子星内部の物質はどのような性質を持っているのかを系統的に数値計算をして調べました。次に非圧縮率Kの違いによる状態方程式の変化によって中性子星・超新星コアの性質がどのように変わるのかを調べ、状態方程式が爆発にどのような影響を与えうるのかを学びました。

後半は、いよいよ超新星爆発の数値シミュレーションに取り組みました。まず、1次元(球対称)の超新星爆発計算を行い、ニュートリノの効果の有無により爆発する/しないが大きく異なることを確かめました。最後に、受講生自らが選んだ非圧縮率Kの値で、2次元の超新星爆発シミュレーションの計算ジョブをスーパーコンピュータに投入して、この日の実習は終わりました。

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東京大学の宮城宇志さん。見事、超新星爆発を起こした

そして次の日の朝……超新星爆発を起こしていた東京大学の宮城宇志さんは満面の笑みで爆発のシミュレーションを見せてくれました。受講生の20%から30%が爆発させられましたが、他は爆発せずに、ブラックホールに至る例になってしまいました。しかし、この日の本番はこれからです。実際の研究でも、爆発したら終わりではなく、なぜ爆発したのか、しなかったのか、その原因を解析するのがシミュレーション後に必要なことです。受講生は計算データからムービーを作成するなどして、爆発すれすれの状況を解析しながら、爆発が多次元的に起こる様子について理解を進めました。超新星爆発では状態方程式が重要な鍵であることを学び、核物理と天体現象のつながりについて、シミュレーションで実感しました。こうして、クォークから超新星までの一貫したストーリーが完結しました。

諏訪氏は「本来のシミュレーションには1~2か月、解析に半年の時間がかかります。受講者は研究者と同じように、一晩、爆発するのか、しないのか、わくわくした気持ちを味わえたのではないかと思います。受講生が1つでもお家に持って帰れるものがあるのなら、やった甲斐があります」と、講師の荷を下ろして、感想を話しました。

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青木 愼也 校長「実はちょっと……」

最終日の午後は、青木校長による3講座のまとめと、修了書授与式がありました。実はこのスクールには驚きの真実が隠されていたのですが、それは参加者だけの秘密となりました。

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青木先生の告白を聞いて、参加者は笑いに包まれた。

青木校長は「夏の暑い中、本当にお疲れ様でした。このサマースクールがきっかけとなって、我々の分野に参入してくれる研究者が増えることを期待しています」と話し、最後に受講生一人ひとりに、校長から修了書が手渡され、サマースクールは無事終了しました。

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修了証書をもらう高橋和也さん

大阪大学で素粒子物理学を学ぶ冨谷昭夫さんは、「超新星爆発の研究者とはこれまで接点がなかったのですが、住吉さんとお会いでき、面白い話ができました」と、スクールでの出会いについて話しました。早稲田大学で天文学を学ぶ高橋和也さんは「クォークから始まって第一原理計算から中性子星をつくるという分野横断の流れを体験できました。細かい計算は分からなかったですが、雰囲気がわかっただけで勉強になりました。天文学にもマイクロフィジックスが重要であると確認できたのが良かったです」とスクールを終えての感想を話しました。

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競い合い、学びあう、世界中の若手研究者 - SNP School 2013 – ../../../130214-20school_houkoku/ ../../../130214-20school_houkoku/#comments Fri, 29 Mar 2013 11:47:28 +0000 ../../../?p=3290 続きを読む ]]> 130214-20school-shugo2013年2月14日(水)~20日(土)の7日間、国際スクール「International School for Strangeness Nuclear Physics; SNP School 2013」が開催されました。このスクールは理論、実験、計算科学で盛んに研究が進められているハドロン物理を含む広い意味でのストレンジネス核物理の現状を、次世代の核物理学を背負って立つ強い意欲のある学生や若い研究者に講義することを目的に、前半の3日間は茨城量子ビーム研究センター(茨城県東海村)で、後半の3日間は東北大学と作並温泉でおこなわれました。12か国から73人が参加し、期間中に、HPCIセッション、ヤングセッション、茨城量子ビーム研究センターに隣接するJ-PARC※1、東北大学ELPHの見学、作並でのサマリーセッション、日光への遠足がありました。

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HPCIセッションの講師を務めた初田哲男氏

15日と、16日のHPCIセッションでは、HPCI戦略プログラム分野5のメンバーである初田 哲男(はつだ・てつお)理化学研究所主任研究員が「QCDとハドロン物理」というタイトルで合わせて3コマの講義をおこないました。ホワイトボード2台を使った白熱の講義に参加者からは「カイラリティとは何か、カイラリティとヘリシティにはどのような関係があるのか、などがとてもクリアに理解できた」、「難しくて理解できなかったことがはっきり分かった」との感想が寄せられました。

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16日のヤングセッションでは参加者全員がポスター発表に臨み、さらに選ばれた9名が口頭発表をおこないました。先に行われた口頭発表で、参加者は自分の研究について発表し、講師や他の参加者から寄せられた質問にも堂々とした様子で答えていました。続いて行われたポスターセッションでは議論が尽きることなく続きました。世話人の投票により口頭発表、ポスター発表それぞれで最も優れた参加者には橋本治※2賞が、次点にはSNP School Incentive Prizesがおくられました。橋本賞を受賞したのは、口頭発表の部が東京大学の村上洋平さん、ポスター発表の部がミュンヘン工科大学のJia-Chii Berger-Chenさん。SNP School Incentive Prizes口頭発表の部はアメリカ・カトリック大学Natalie Walfordさん、ポスター発表の部はドブナ原子核共同研究所 Anna Korotkovaさんにおくられました。

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左から東京大学の村上洋平さん、ミュンヘン工科大学のJia-Chii Berger-Chenさん、アメリカ・カトリック大学Natalie Walfordさん、ドブナ原子核共同研究所 Anna Korotkovaさん

多くの参加者が最も印象深かったと答えたのは17日に行われたJ-PARC見学と20日のELPH見学でした。初めて加速器や実験施設を見た参加者はその大きさにただただ驚いた様子でした。J-PARCではストレンジネス核物理の実験を行っているハドロン実験施設以外にも、ミュオン実験、中性子実験を行っているMLF、T2K実験を行っているニュートリノ実験施設、J-PARCの加速器で流れているビームをコントロールする中央制御棟も見学しました。普段J-PARCハドロン実験施設を利用している参加者からもMLFや中央制御棟の見学は新鮮だったという感想が聞かれました。

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ハドロン実験施設

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MLF

参加者の多くが外国人でしたので、世界遺産である日光への遠足は感動的だったようです。「日本の文化に触れ、日本が好きになった」という感想が多く寄せられました。しかしそれ以上に国際色豊かな多くの仲間と議論できたことにわくわくしたこと、またその場を提供した世話人への感謝の言葉が聞かれました。

用語解説

※J-PARC
J-PARC(Japan Proton Accelerator Research complex:大強度陽子加速器施設)は、日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で茨城県東海村に建設し、運営を行っている最先端科学研究施設。ハドロン実験施設の他、物質・生命科学実験施設、ニュートリノ実験施設と、それぞれの実験施設にビームを供給するための加速器(リニアック、3GeVシンクロトロン、メインリング)がある。

※橋本治(1947-2012)
元東北大学副学長、同大学院理学研究科・理学部教授。2012年に行われた第1回SNPスクールの校長を務める。研究や管理業務だけでなく、研究者育成にも尽力した。2012年2月3日、多くの研究者がその死を悼んだ。

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汎用シミュレータで計算物理学に挑戦-宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマースクール ../../../120806-10summerschool_houkoku/ ../../../120806-10summerschool_houkoku/#comments Tue, 21 Aug 2012 04:39:42 +0000 ../../../?p=2488 続きを読む ]]>

あいさつするサマースクール世話人、千葉大学の松元亮治教授

宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマースクールが、2012年8月6日~10日、千葉大学アカデミックリンクセンターなどで行われました。5日間にわたるスクールの受講生は42人。多くは修士の学生でしたが、博士学生、研究員も参加し、千葉大学情報処理演習室の教育用端末を用いてそれぞれの課題に取り組みました。

松元亮治(まつもと・りょうじ)・千葉大学教授のグループでは、荷電粒子系をマクロに扱う磁気流体モデルに基づく宇宙磁気流体シミュレータ「CANS(Coordinated Astronomical Numerical Software)」を開発・公開して、初心者でも磁気流体現象のシミュレーションを実施できる環境を整備してきました。それを拡張した、プラズマを粒子的に扱う電磁粒子モデルに基づくプラズマ粒子シミュレータ「pCANS」の開発も進めてきました。本サマースクールでは、これらを教材として用い、講義および演習を行いました。
演習でに、千葉大学総合メディア基盤センターのHITACHI SR16000や宇宙物理研究室のサーバー計算機を使用しました。また、東京大学情報基盤センターのFX10(Oakleaf-FX)の教育利用が認められたおかげで、192コア15分のジョブを実行することができました。

5日間の成果を発表する受講生

講師は8人、それに演習担当も8人という手厚い講師陣に導かれて、宇宙磁気流体およびプラズマのシミュレーションについて学び、さまざまな課題に取り組みました。
最終日には応用課題演習の発表会があり、42人が9グループに分かれ、15分ずつの発表を行いました。課題は以下の9つです。太陽活動、降着円盤とジェット形成、ジェット伝搬、Parker不安定性による分子雲形成、輻射磁気流体、Weibel不安定性、運動論的リコネクション、無衝突衝撃波、Kelvin-Helmholtz不安定性。5日間という限られた時間で、各々が力を尽くした課題発表会でした(講義資料、発表スライドはウエブに掲載しています)。

サマースクールの世話人である松元教授は、最後に、「参加くださった皆さんお疲れ様でした。次回は未定ですが、今後も企画しようと考えています」と結びました。実は磁気流体サマースクールは2004年まで開催されており、以前はリピーター向けのアドバンストコースを作ったりもしていました。そのあたりも含めて、次回の開催を検討するとのことでした。

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